Go back

アップサイクル新素材を開発し始めた理由「地球温暖化へ寄与する仕組みを作る」

News
November 30, 2022

作る段階でも大きな環境負荷をかけている

服を作るにあたり、多大に環境に負荷をかけているのをご存知でしょうか。

原材料の調達から、製造段階を経る過程で年間に排出される環境負荷の総量はCO2の排出量で90,000kt、水消費量で83億㎥、端材等の排出量45,000tとなっています。さらに、この数字で見える環境負荷だけでなく、化学物質による水質汚染もあります。

この膨大に見える総量を服1着辺りに直すと、CO2排出量が1.5リットルのペットボトルで17本分、水消費量で浴槽約11杯分となり、その量の多さが実感できると思います。

それだけの環境負荷をかけて作られたものの大半は焼却処分

日本国内に限って言うと人口減少が言われてかなり経ちますが、10年前までファストファッションの成長などもあり生産量、販売量も増加し続けてきて、2013年にピークを迎えてからは横ばいに推移しています。このトレンドは世界規模で見ると人口が増加し続けている国が大半の中、世界中で販売量は増加しつづけています。

しかし、その大半が焼却処分されており、環境負荷をかけて作られたものが、温室効果ガスに形を変え、空気中に解き放たれている状況です。

その状況を改善するため、様々なメーカーがたゆまぬ努力を重ねており、服の製造工程で出る端材などは改めて服を作り直せるよう、綿に戻し糸に仕立て直し、生地にすることで服を作り直すというような取り組みもあります。しかし、この再生方法でも、綿に戻す過程で繊維が粉末レベルまで短くなってしまったものは糸に戻すことができず廃棄しているのが現状です。割合としては40%〜50%くらいがこの粉末レベルの繊維になってしまうため、現状服から服への再生方法は効果として半分程度レベルに留まっています。

環境負荷を各家庭で閉じ込めることで大気への放出を止める

昨今、CO2を各家庭で閉じ込めようという意図で木材の利用促進の運動を目にすることが増えてまいりました。もちろん、空気中の二酸化炭素を取り込んで成長した木材をより多く利用することで、空気中から取り除こうという活動には確かに意義があります。

しかし、私達の素材開発にお力添えいただいたヒノキ工芸会長 戸沢忠蔵氏が「木も石も、自然界のものは全て有限である。しかし、服というのは人類が衣食住の衣をもう一度手放さない限り無尽蔵に排出され続ける資源である。これをものづくりに利用していくことの方がよっぽど地球に優しい。」と仰られているように、木材というのは管理された森からの資源ばかりではなく、また今の地球全体の需要に耐えうるだけの木材供給には限界が来かねない。そして大気から二酸化炭素を取り除く活動も有意義であることは変わりないが、そもそも大気に出さないことも同時に進める必要がある。

そのため「環境負荷をかけて製造されたものを燃やして、さらなる環境負荷にする」のではなく「環境負荷をかけて製造されたものを燃やさずに閉じ込めることで誰もが社会貢献に参加できる仕組みを作る」ことを目的に開発してまいりました。

これをより多くの方のお手元に、よりお求めやすい価格でお届けできるよう、これからも尽力してまいります。

(上記情報は全て環境省調べの情報を元に記載しております。https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)